第15話 神経細胞が再生する !パート2
前々回13話で「脳細胞が復活する!」という東大の中福雅人助教授の記事を紹介しましたが、別な記事も見つけたので紹介しておきます。
マウスの脳を刺激して、脳卒中で死んだ神経細胞を新しい細胞に置き換えさせることに、日本の研究者たちが成功した。この成果は、損傷を受けた脳や、病気にかかった脳を、薬物で再生させることができるかもしれないという期待を抱かせる。
日本科学技術振興事業団の中福雅人らの研究グループは、標準的な血清2種を混ぜたものを使い、マウスの損傷した海馬の中で新しい神経細胞を成長させた。海馬は記憶の蓄積にかかわっている脳の領域だ。このマウスでは、この種の脳の損傷で通常起こる学習障害のうち、いくらかが見られなかった。
これまで、脳は錐体細胞とよばれるこれらの細胞を修復できないと考えられてきた。この領域を脳卒中で損傷した患者は、深刻で回復不可能な記憶障害になる。
オールバニー医科大学(米国ニューヨーク州)で神経の再生を研究しているSally
Templeは「この研究はまさに注目に値する。ただし、再び同じ結果が得られるまでは完全に信じることはできない」と話す。
将来は、適切な治療をすれば、脳卒中やパーキンソン病などの病気になった後でも、脳自身に脳を修復させることができるかもしれないという実験データが増えている。今回の結果も、その1つだ。コーネル大学(米国ニューヨーク州)の神経科学者Steven
Goldmanは「私はできるものと確信している」と言う。
損傷場所へ移動
大人の脳の中には、新しい細胞を生涯にわたって自発的に作り続ける領域がいくつかある。最近、特定の成長プロモーターを使って、この新しい細胞のタイプや数を変えることができるようになってきた。
しかし、海馬の錐体細胞は再生できないと考えられていた。「意外に思うかもしれないが、海馬の錐体細胞が再生するか、わざわざ調べた研究者はこれまでいなかったと思う」とGoldman
は話す。
中福らの研究チームは、マウスを酸素不足にさせて脳に損傷を与えた。それから、マウスの脳に細胞分裂を起こす2種類のたんぱく質を3日間にわたって注入した。この結果、海馬の外側の細胞が新しい神経細胞を作り、それが損傷した領域に移動すること、その細胞がほかの細胞と正常な接続を形成するらしいこと、を彼らは発見した。
しかし、同じ血清を人間の治療薬としては使うことはできないだろう。この血清は、ほかの細胞の腫瘍化を誘発する可能性があるからだ。研究者たちは、細胞を刺激して、損傷した領域に移動する特定のタイプの細胞を作らせることができるような薬剤を見つけなければならない。また、こうした新しい薬剤を脳細胞に届ける効率的な方法を見つける必要もある。「この研究は、まだまだ初期の段階だ」とGoldman
はコメントした。
この記事は、治療の道がついたということではありませんが、今まで「細胞の再生はないという」ことから「細胞は再生する」ということだけでも大きな励みになりました。落ち込んだときまたこの記事をみて頑張るために保存版にしました。
(2002年9月13日) グリアTOP
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